Making a Knife from an Used File
こんばんは。今回は「折れた鉄工ヤスリからナイフを作ろう」
という内容の記事になっています。
もうアレですな。ブログの説明を見て、
かわゆいフィギュアを目的にして訪れた方はサギだと思うんじゃないかな。
まあそんな自虐的な話はさておき、ゴリゴリ作っていきましょう。
嫌がらせなの?って位長いので畳みますね。
写真はまたも使った道具たち。少し様変わりしてます。

まずは今回の材料となったヤスリの欠片。
ウチの業界だとあんまり出番がない道具なので、誰かの私物だったのかも。
持ち主不明で捨てられる所だったのをすんでのところで引き取りました。

多分これが本体だと思います。ツボサンというメーカの鉄工ヤスリ。
多分刃の長さが300ミリの大きいやつですね。本当に何に使ってたのか。
これも一緒に貰いましたが、もったいないので使いません。

デザインした絵を切って、ちっちゃい磁石でヤスリに貼り付けます。
元になるヤスリの欠片が100×35ミリと小さいので、非常に小さいナイフになるかと。
ちなみに、スパイダルコ風のシルエットになってます。風です。風。

この時点で、「焼きなまし」しておきます。
どういう事かというと、ヤスリに使われる様な鋼は焼きが入ってます。
そのまま切ろうとしても、とてもじゃないけど歯が立たないんです。
当たり前ですよね。鉄を削ろうなんて道具なんですから。
屋外での作業になるので写真は撮ってませんが、
① 1800度まで上がるガスバーナ(サカエBT20ZG)で赤くなるまで加熱。
② 冷却がゆっくりになるように炭の灰の中で冷却。
これだけで、金鋸やヤスリが掛けられる硬度まで下がります。
いわゆる、「なまくら」な状態です。
半信半疑でやってみましたが、いや感動しました。試しにヤスリを掛けると、
ギョリギョリという、ヤスリのかかる音を立てながら削れていきます。
鉄って面白い!
金鋸を使って切り出していきます。
一部だけ、リューターに切断砥石をつけて切りましたが、
基本的に相手が厚すぎて刃が立ちませんのでほぼ手で。

切り出し~ヤスリの目を潰すまででだいたい5時間位かかりました。
でも裏面はまだです(;´Д`)ハァハァ

12時間後、ここまで来ました。なかなかテンション上がりますw
鉄工荒→中→荒砥120→240でこんな感じです。
とにかく面をキッチリ出す様に心がけました。

刃をつけていきます。ここも鉄工ヤスリで。
写ってませんが、どこまで刃をつけるのか、マジックで塗りつぶしておきました。
この作業は角度を一定に保つのが非常に難しかったですね~。

側面もキレイに仕上げていきます。全行程同じですが、
鉄工ヤスリの荒→中→渾身の力を込めた120→240番ペーパー(笑)
まで掛けると、この位キズが消えます。あとは面が出てるのを確認しながら。

ヤスリに飽きたので穴あけ。そして失敗( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
先端に向かってテーパーになってるので、真っ直ぐ穴を開けるのが至難の業です。


こんな写真みても何もわからんと思いますが、下の写真の側が1ミリ位下に開いてるんです。
これはいけない。
ロウ付けで埋めてやり直し。(悪い見本と言い切っていい程アレです(;・∀・))

ちょうど大きい方の穴を開ける前ですね。開けた後は撮り忘れ。
小さい方は訳あって2.6ミリ。大きい方は5ミリです。

穴も開いた事ですし、手間ですがこっちの側面も仕上げましょう。
誰がデザインしたんだか知りませんが、ウネウネしてて仕上げにくいです(白目

仕上がってこんな感じ。
この、焼入れ前までになるべくキレイに仕上げておくというのが大事でした。
焼入れ後はヤスリなんて掛かりませんからね~。そして面をキッチリ(ry

突然ですが焼入れ~焼戻し後。屋外での作業なので写真なし。
手順だけ書いておきます。

①ガスバーナで赤~黄色が入ってくるまで加熱。
この時、柄の方は焼きを入れたくないので刃だけを炙ります。
②サラダ油を並々注いだアルミ容器に真っ赤になったナイフを漬け込む。
(刃を立てて入れる事。じゃないと曲がります。そして火が付きますので注意。)
③よく冷えたら洗って、オーブントースターに入れて200度で30分。
焼戻しという作業です。
さて、焼入れができたのか確認しました。
油目(極細)のヤスリがかかるかどうか。
柄の方はご覧の通り掛かります。ギョリギョリ。
刃の方は、チャリチャリと高い音がして全く掛かりません!
すごい面白いw

もう本当に、説明する気があるのか怪しい程に写真を撮り忘れてますが、
刃付けが終わった状態。8時間くらい?尋常じゃない程研いでました。
荒砥120→240→ダイヤモンド砥石400→セラミック砥石1000→
ペーパー2000→3000→ブルーマジックで艶出し。

さて柄の方です。両側から木を挟んで、
接着剤と金属のピンで留めるフルタングという形。材料はカリマンタン黒檀。
赤身と白太のコントラストが美しいです(←知ったか振り

この木材ですが「銘木 端材」か何かで検索して出てくるお店で、
各種詰め合わせみたいな状態のを何年か前に買った記憶があります。
わざわざナイフメイキング用のを買わなくても、こっちのが安くて良いですね。
穴あけ。いやあ、楽勝でした(大嘘
ナイフ自体が先端に向かってテーパーがついてるので、
穴が開けにくい!位置合わせにかなり苦労しました。

下の5ミリは普通の真鍮棒。上の2.6ミリは小細工します。
ミネシマのインジェクタの一番大きいやつの先端を、
2.6ミリの真鍮パイプが差し込めるようにドリルで拡げます。

2.6ミリ真鍮パイプの中に1ミリの真鍮線を二本通して、瞬間接着剤で仮止め。

WAVEのこすって銀SUNをリキッドガラス(前回のゆるい二液エポキシ)
に溶きます。黒の顔料を持ってるなら、そっちの方が良さそうです。
ナイフメイカーの方々はトナー粉とか使ってましたね。

インジェクタに件の真鍮パイプを挿して、ストローの様にリキッドガラスを吸い込みます。
溢れたら急いで練り消しに刺します。硬化まで24時間放置。

これで、いわゆるモザイクピンが出来上がるはずです。この作り方も、
前回の最後に動画を紹介した「Black Beard Projects」さんのマネです。
動画貼っておきます。
硬化したので、90分硬化の二液エポキシで接着。
こんな感じでクランプをかけて24時間放置。

これが・・・。

こうなって・・・。

こうじゃっ!

という訳で完成。木工部分も大変でした。
色は薄いですが、黒檀の名に恥じない硬さ!ほとんど鉄工ヤスリで削りました。
甲丸の中目が大活躍でした。その後は順に10000番までペーパーかけて、
最後に蜜蝋ワックスを。ツヤツヤです(*´Д`)
切れ味の方はこんな感じ。よく切れます。
刃が厚いのでカッターより食わずに切れます。うーむ。良いですな。

鉛筆なんかは非常にキレイに削れますよ。

自分でデザインしたので当たり前ですが、抜群のフィット感。
スパイダルコっぽくなったかな?
ナイフに詳しい方には、スゴいヘンな形に見えるんでしょうなw

素材になったヤスリと並べて。ビフォーアフターですw

アップでいくつか置いておきます。







次はもっと普通の鉄鋼で作りたいですね。少なくとも平らな板から作りたいw
そしてハガネに焼きを入れた時の独特の波紋みたいなのを、
もっとキレイに残したかったです。
一点注意ですが、刃渡りが6センチ以上は銃刀法違反に、以下でも軽犯罪に該当するので、
用も無いのに持ち歩かないのが前提です。家で保管するのは問題ありません。
ですが、両刃のいわゆるダガーとかのタイプ(忍者のクナイみたいなの)は、
作り出した時点で犯罪なので、作ってはイケマセン。
まさか触発される方がいるとは思いませんが、法律を調べてからになさって下さいね~。
という事で、私は法律を踏まえた上で作ってるんですよというアピールをしておきますw
なかなか大変でしたが、アドレナリンが出てるのが分かるほど楽しかったですね~。
いや、お疲れ様でした。では、今日はこの辺で失礼します。
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ジャンル:趣味・実用